2023-2024年ドイツ見本市最新傾向

 

青山 香織

アンサンブラウ イベント+マーケティング

 


コロナの影響で一時中断されたドイツ見本市は、2022年後半から再開されました。

再開当初は、見本市がもはや必要ないのではないかという懸念もありましたが、実際に再開した見本市には多くの出展社と来場者が戻り、大きな盛り上がりを見せています。

見本市の復活は、コロナ禍に進んだデジタル化の中でも、対面でのコミュニケーションの場である見本市がいかに必要かを実証しています。ずっと先の未来はわかりませんが、現時点では、ビジネスは実際に会って行うのがベストで、それができるのが見本市。これが、多くのドイツ企業、グローバル企業による現時点での判断です。

 

ただ、見本市の役割や位置づけがこれまでと同じということはありません。状況は変化しています。ドイツ見本市産業協会 AUMAが示した、見本市の最新傾向を紹介します。 

 

1. デジタル併用

これからのマーケティングは、デジタルかアナログか、といったどちらか一方に重点を置くのではなく、両方のベストな面を慎重に検討して組み合わせることが大切になります。見本市の開催前から開催後まで、デジタルを活用して来場者や顧客とのコミュニケーションを深めたり、バーチャルリアリティの活用で製品の魅力をより印象的に伝えることが可能になります。 

見本市への参加がかなわない場合のデジタルでの参加というケースも今後増えると予測されていますが、一方で、デジタルだけでの見本市は機能しないとドイツ見本市産業協会は見ています。

 

2. 早くて柔軟な意思決定

従来の見本市の多くは、一年に一度の開催で、その年の開催が終わってから来年の出展を申し込み、一年かけて出展の順をするというペースでした。しかし、現在のビジネス環境に於いては、より迅速で柔軟な意思決定が求められています。それに伴い、見本市に関する意思決定も変わってきています。開催直前に出展や来場を決定する企業も増えており、来場者を受ける出展者としても柔軟な対応が必要になってきます。高まる意思決定スピードに合わせて、例えば見本市終了後のフォローアップも早めに始めることが重要です。

 

3. 国際競争の激化

見本市主催者間の国際競争が激化しています。ドイツは見本市の開催地として長年ナンバーワンの位置に君臨していますが、競争を勝ち抜くために様々な方策を打ち出しています。ドイツ政府に対し見本市支援の他、見本市に参加する外国人へのビザ要件緩和も求めています。ビザ要件に限らず、今後はドイツ国外企業がドイツ見本市でもよりやりやすくなるような方策がうち出されることを期待したいです。

このように見本市自体の国際競争が激化する中、それぞれの企業も、これまで以上に激しい国際競争に直面しています。以前は、出展企業の大半を占めるドイツ企業、欧米企業が見本市での競争相手でしたが、現在はアジア諸国や南米からの出展者も増えてきています。

 

4. 顧客重視

ドイツはこれまで、どちらかというと顧客サービスよりも製品の品質を重視する傾向にありました。それが、ここで顧客重視を挙げていることは意義深いです。いよいよドイツも顧客サービス、ニーズについて真剣に取り組み始めているという事だと思います。特に見本市では、顧客の「経験」という点がとても重要になってきます。見本市ブースを訪れた時に、いかに印象的な経験を届けることができるか、がとても重要になってきます。

 

5. サステナビリティ

自然環境への取り組みが不可欠となり、見本市業界でも同様です。ドイツの見本市施設は2027年までに総額5億5,000万ユーロをサステナブルな設備やシステムに投資することを計画しています。出展企業も同様に、サステナブルへの投資を増やしており、見本市への出展自体をよりサステナブルな方法で実施することが求められています。

 

6. 見本市の存在感への再認識

パンデミックによって中断された見本市が復活したことで、その重要性が再認識されています。見本市は依然として無敵な存在であり、物理的な出会いが特別な意味を持っています。ビジネスは直接対面がベストで、信頼できるパートナーシップはお互いを知ることから始まります。これを実現できるのが見本市です。 

 

7.人材確保

ドイツでも特に若年層の人材難が深刻な状況であり、見本市は人材確保の機会となっています。多くの見本市が学生や求職者を受け入れ、企業は製品プレゼンテーションだけでなくリクルーティング戦略にも見本市を活用しています。

 

8. 最新の経済トレンド発信の役割 

エネルギー価格が上昇すると、省エネ技術に関する見本市の勢いが増すなど、見本市は最新の経済状況を映し出す鏡とも言えます。新しい産業や需要に迅速に対応し、ドイツでは2023年に20以上の新しい分野の見本市が誕生しています。見本市は変化する経済状況でのイノベーションを紹介する重要なプラットフォームとなっています。

 


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