共感マップの海外マーケティング活用法


共感マップは、海外ビジネスに使えます!

 

営業、マーケティングの基本は、「顧客をよく知る」ことです。

海外マーケティングでも同じです。

この「よく知る」ということが、できているようでなかなかできていないという事も多いのではないでしょうか。

 

「よく知る」ことをはっきりとした形にするのに便利なツールがあります。

「共感マップ」と呼ばれるものですが、お聞きになったことありますでしょうか?

 

アメリカのXPLANEというコンサルティング会社によって開発されたツールで・・・

と書くと、なんだかややこしそうなイメージを持たれるかもしれませんが、意外と簡単、

そして使えます。 

 

お客様がどんなことを考えていて、何が気になっていて、何に満足していて、なんでそんな行動をとっているのか、といったことを、この共感マップを使って深く考え、書きだしていくことで、お客様をよりよく知り、何が求められているのかを明らかにするのに役立ちます。

 

日常的に、ご自分のお客様と連絡をとりあっていらっしゃる方からすると、「そんなこと、わざわざ言わなくても、普段からわかっているよ」と思われるかもしれません。

 

実は私も最初はそう思いながら試してみたのです。

 

 

でも、これは使えます! 

 

頭の中や感覚的にはわかっているつもりであった点々としたことが、一つ一つ繋がっていることがわかってきて、「あ、だからあの時あんな風にお返事をいただいたんだな」とスッキリしたり、「じゃあ、こうしてみたら、もっと喜ばれるかな」といったアイディアがいろいろ湧いてくるのです。

 

また、共感マップは、元々はターゲットとする顧客を理解するために開発されたのですが、実際には顧客に限らず、社内の同僚の理解、海外事務所のスタッフとの信頼関係づくりにもしっかり役に立つのです。

 

こうしたアイディアをきちんと実行に移すことが一番大事ですけどね。

 


共感マップの使い方

 

実際にどのようにして共感マップをつくるか、特に海外ビジネスの場で活かすことができる方法を紹介します。

 


1.フォーマットを作る

 

まずは、用紙または画面の真ん中に、お客様のイメージを描けるスペースをとって、縦線、横線で4つの領域に分けます。

その4つの領域のひとつひとつに、それぞれ、

 

「考えていること」

「感じていること」

「見ていること・もの」

「していること」      と書きます。

 


 

上のフォームは私達が作った「海外マーケティング共感マップ」フォーマットです。

こちらからダウンロードしてお使いいただくと便利です。

 

共感マップにも様々なバリエーションがあって、これ以外の領域が使われている場合も様々ありますが、私は、まず最初に試してみるなら、この4つの領域に集中するシンプルなバージョンが一番使いやすいと思います。

また、オリジナルのバージョンでも、この4つの領域に加えて、「つらいこと」「うれしいこと」という項目が上記の4つとは別枠で含まれているのですが、つらいこと、うれしいことについては、上記4領域と重なる部分もあり、分けて書くと迷ってしまう事もあると思うので、最初は上記4つに集中するのがおすすめです。

 

さらに、もっとおすすめなのは、この共感マップと一緒にお客様や同僚(ここではターゲット人物とします)の詳しいプロフィールをまとめてみることです。

これは、難しい説明などでは「アバター」とか「ペルソナ」と呼ばれていますが、要は、そのお客様がどんな人なのか、プロフィールを作るつもりで進めることで、お客様への理解がより高まると思います。

このお客様プロフィールについては、次回お話したいと思います。

 

*「ターゲット」という言葉は、これまでもマーケティングではよく使われてきていますが、ターゲットが、例えば「30代 共働き世帯」などといった大きな共通項でくくられたグループを意味するのに対し、ここで「ターゲット人物」としたのは、そうしたグループではなく「個人」を深く観察することを目的としているためです。

 


2.ターゲットイメージを描く

 

次に、真ん中の部分に、ターゲット人物の方のイメージを描いてみます。

手描きが理想的ですが、絵を描くのに抵抗があったり、逆に絵心ありすぎて別の方向に向かってしまいそうな時は、PC上で、描画モードを使ったり、使っても大丈夫な画像等を利用してください。

イメージが描けたら、名前と、その人を表す簡単な説明、例えば「セールス担当」のような説明を入れます。

 

*名前欄:思い浮かべていらっしゃる人の本当の名前でも、ニックネームでもどちらでも良いです。例えば、日本で周りにいらっしゃる方で似ているな、と思う方がいれば「ドイツの田中さん」のような名前にすると、イメージがわきやすい場合があると思います。

 

*説明:役職や組織での役割を書くのが一般的ですが、きちんと決められた役割でなくてもしっくりくるものがあれば、そちらを書くと進めやすいです。 

 


3.ターゲット人物を思い浮かべて4つの領域に書き込んでいく

 

では、それぞれの領域の枠の中に、その顧客が考えていること、感じていること、見ていること・もの、していることを思いついたまま書き出していきます。

ひとつのことについてはひとつの枠の中に入れるようにします。

この作業は、その顧客を知っている複数のメンバーで進める方が、より深い観察から形にできるのでおすすめです。

 

*あまりぴんとくる内容が浮かばなくて悩まれることがあるかもしれませんが、まずは何でも思いついたことを書き出していくことが大切です。楽な気持ちで取り組まれると良いと思います。

 


4.書き出したそれぞれの項目の関連を見てみる

 

4つの領域に書き出すことができたら、関連性があるものをこんな感じにまとめていきます。

 


 

全体を見渡して、そしてまとまりごとに見てみて、そのお客様の心の動きを想像してみます。

*書き出した内容の全部を結び付けていく必要はありません。気がついたところを集中して見てみて、ご自分が納得することが大切です。

 

さらに、海外マーケティング、海外ビジネス向けに便利な使い方を紹介したいと思います。

海外ビジネスではターゲットが外国人となる場合が多いと思いますが、その場合、それぞれの書き出した内容について、ご自分が「共感できること(または理解できること)」と「共感しにくいこと(理解できないこと)」に書き出した内容を分類してみてください。

 


 

上の例では、共感できることをピンク色、共感しにくいことを水色に塗り替えて、位置を動かしてまとめてみました。

 

分類が済んだら、まずは「共感できること」に注目してみてください。外国人でも意外とご自分と同じように考える点がある事に気づかれるのではないでしょうか。

異文化、異なる商習慣から感じていた心の距離が、これで少し近づいてくるのではと思います。

 

次に、「共感できないこと」に注目してください。今までモヤモヤとしていた違和感の素が見えてくるかもしれません。

また、「していること」の背景には、「考えていること」「感じていること」「見ているもの・こと」が繋がっていることが多いです。そうした、それぞれの項目を超えたところでの繋がりを見つけることで、相手に対して「わからないな~」「違うな~」と思われていた点が少しすっきりと、少なくとも理由がわかってくるのではないでしょうか。

 


5. 試してみて、考え直して、を繰り返す

 

ここまで来たら、ひと段落。

 

今日、この共感マップを作られたことが、ターゲットとする方との関係づくりの第一歩になります。ここで書かれた共感マップの内容を前提にターゲットとした方に接してみることで、納得がいく点もあれば、実際には共感マップで考えていたのとは異なる点も出てくると思います。

そうした異なる点を書き直してみて、またじっくり考えてみて・・・ということを繰り返すうちに、ターゲットの方と真にわかりあえる関係づくりにお役立ていただけると思います。

 

ゆっくり考えていく中で、そのお客様が何を求めているのか、ご自分が何をしてあげられるのか、何ができるのか、といったアイディアがきっと生まれてきます!

 

セーフディスタンスが求められる今、少し客観的にお客様のことを考えるまたとないチャンスかもしれません。

ぜひお試しください!