ドイツのBtoBマーケティングトレンド(2022年)後編

 

青山 香織

アンサンブラウ イベント+マーケティング

 


前回に続きまして、ドイツマーケティングトレンド 後編です。

 

2022年のドイツBtoBマーケティングトレンドとして、次の6つのキーワードを前回挙げました。

 

1.サステナビリティ

2.ソーシャルコマース

3.企業(コーポレート)インフルエンサー

4.パーソナライゼーション

5.「クッキー」後のウェブ広告

6.ハイブリッドイベント

  

後編では、

4.パーソナライゼーション

5.クッキー後のウェブ広告

6.ハイブリッドイベント

 

について少し詳しく紹介したいと思います。

 

  

トレンド4.パーソナライゼーション

 

パーソナライゼーションとは、顧客や潜在顧客のニーズ、興味に合わせた商品やサービスを勧めていくマーケティング方法。消費者向け商品ではパーソナライゼーションを行った情報に対しては消費者の7割がリンクを開いたり商品を購入したりと何らかの反応を示すと言われています。BtoBでの詳細なデータは出ていませんが、ほぼ同様の効果があると期待されています。

 

パーソナライゼーション自体は以前からマーケティングの重要なポイントのひとつとされており、新たなトレンドというよりもすでに浸透した戦略で、実際にパーソナライゼーションに注力されていらっしゃる方も多いと思います。これから重要となるのは、そのパーソナライゼーションの質。ただ名前だけが自動的に個人名を入れた形ではなく、そこで勧める商品も過去の購入履歴や興味、地域の特性などを加味した内容であることがマストになってきています。

 

きめ細かなパーソナライゼーションを支えるのがオートメーションやAIになりますが、実際には、それらのシステムをいかにちゃんと使いこなしているかー個々のシステムを理解し活用し、同時にそれぞれのシステムを統合管理できる人材の育成又は確保が、パーソナライゼーション成功の鍵といえます。

ドイツのマーケティング業界で今、一番熱く語られているのがマーケティングオートメーションです。効率性を重視するドイツのビジネス習慣にフィットしており、様々な企業が新システムの開発を進めています。

 

ただし、現時点での状況を冷静に見ると、本当の意味で「オートメーション」となるには、まだまだ途中で人による調整が重要となる段階と言えます。また、新たにドイツや欧州市場への進出を希望されていて、顧客候補がまだそれほど多くない状況である場合は、一社一社に丁寧にご対応される方がずっと成約の確率が高いです。先ほどドイツビジネスは効率性を重視すると書きました。しかしながら付け加えると、ドイツビジネスに関わるドイツ人の大多数は、アナログな人と人とのつながりを大変重視します。特に新規の取引を始める場合は慎重で、すでに自分が知っている企業や人からの紹介の場合は温かく迎えますが、そうでない場合は、注意深く、相手企業と担当者をしっかり観察し、信頼できると判断してから全てが始まります。中途半端なオートメーションによるメッセージよりも、心のこもった言葉の方が一対一の関係構築には大切だと私は思います。

 

マーケティングオートメーションと同様に熱く語られているのが人工知能のAI。ドイツ語ではKI(Künstliche Intelligenzの略)となります。

マーケティングでのAI活用については、大多数が、もう少し先のことという認識でいますが、技術面での発展は目覚ましく、今年2022年には実際に活用される分野が増えてくる可能性があります。例えばボイスサーチの普及が進む中でAIによるアシスタントが主流となってきています。ウェブサイトのSEO対策やコンテンツマーケティングもこうした動きに合わせていく事がとても重要になってくると思います。

 

トレンド5. クッキー後のウェブ広告

 

利用者個々の興味やニーズに合わせたインターネット広告の根幹となるサードパーティクッキーは大きな転換期を迎えています。Googleはサードパーティクッキーの使用を2023年中に終了する予定でおり、これを機に、これまでのウェブ広告とは異なる仕組みが、特にターゲットを明らかにする事が求められる「アドテック」と呼ばれるウェブ広告業界で模索されています。

 

サードパーティクッキーが使用されなくなると、より重要となってくるのがファーストパーティクッキーです。ファーストパーティクッキーとは、例えばご自分の企業ウェブサイトに訪れた顧客や顧客候補が、ご自社のウェブサイト上のどのページから入ってきて、どのようなページを見て購入に至ったか、といった情報になります。ファーストパーティクッキーの情報の取扱いが、今後のデジタルマーケティング成功のためのひとつの重要な鍵となります。

 

サードパーティクッキー活用に代わる方法としては、現時点では例えば、利用者が訪れたウェブサイト上のキーワードに合わせた内容の広告を配信するコンテクスチュアルターゲティングや、キーワードだけでなく文章全体を解析して、全体の内容に合わせた広告を配信するセマンティックターゲティング、また、Googleが提唱するプライバシーサンドボックス (Privacy sandbox)などがあります。

 

 

トレンド 6: ハイブリッドイベント

 

最後に紹介するのは、こちらのブログ記事でも何度か紹介しているハイブリッドイベント。ご存知の通り、欧州、特にドイツでは過去2年間、人と人が実際に会う形での見本市の殆どが、コロナ感染拡大防止のために中止となりました。人と人とが会えない中での代替策として出てきたのがデジタル見本市。見本市に限らず、セミナーやカンファレンス、コンサート等のイベントでもデジタル配信への移行が進みました。日本と同じで、この時期、ドイツでもウェビナーが情報交換、情報入手の場として活用されるようになりました。

 

見本市もイベントも、このままオンライン上で開催することができるのではないか、という議論も生まれてきました。が、そうした議論の結論や、見本市の出展企業への聞き取り調査の結果から、現時点では、オンラインだけでビジネスを進める事はまだ難しい、やはり物理的に出会って、実際に商品を見たり、サービスについて話し合いをすることでお互いへの理解が深まるという事が重要、という意見が大多数であることが今、わかってきています。特に新規顧客の獲得や、新規取引先の検討など、新しく始まるビジネスには物理的な見本市は欠かせないと見なされています。コロナによる中断で、フィジカルな見本市やイベントの必要性に改めて気づいたことになります。

 

ただ、そうはいっても、出口がなかなか見えないコロナの感染拡大状況。今年はもう大丈夫と、殆どの見本市関係者が信じて準備を進めていたのですが、直前になりオミクロン株拡大で、本当に直前に、大きな国際見本市が中止とせざるを得ない状況となってしまいました。

 

コロナが収まったとしても、次にどのような脅威がでてくるかもわかりません。また一方では、オンラインイベントならではの良さというものも明らかになってきています。こうした状況を踏まえて、今後は、デジタルと物理的に人が会う場の両方での開催を前提とするハイブリッド型のイベントが増えてくると考えられます。従来型の見本市が再開となってからも、オンラインでの配信をうまく組み合わせた出展者がより注目を集め、良い顧客との契約を増やしていくような流れが見えてきています。これまで、見本市の期間中に最大限のエネルギーを集中させていただ企業にとっては、見本市期間以外にも注力することが増えてしまうように感じるかもしれませんが、ハイブリッドの仕組みをしっかり作っていく事で、継続的により大きな収穫を海外ビジネスで得られるようになると思います。

 

これからはぜひ、ハイブリッドの海外マーケティングを念頭に進んでいただけるよう、弊社もデジタル、フィジカルの両方で全力でお手伝いしていきたいと思います。

 

本年もどうぞよろしくお願いいたします!

 

●前編はこちら ぜひお読みください!

ドイツのBtoBマーケティングトレンド(2022年)前編

ビジネス環境の変化を受けマーケティングの世界にも大きな変化が生まれています。 BtoBマーケティング最新トレンドについて紹介します。

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