ドイツBtoBマーケティング予算最新動向

 

青山 香織

アンサンブラウ イベント+マーケティング

 


コロナ禍を経て海外企業のマーケティングはどう変わったか。これからどう変わっていくのか。

ドイツのBtoB企業のマーケティング予算についての最新情報が公開されましたのでご紹介します。

 

<この記事のまとめ>

 

・2022年のドイツ企業のBtoB顧客向けマーケティング予算は前年比19%増

 

・コロナ後の反動に加えインフレの影響が大きく、今後も約2割増の予想。

 

・顧客向けマーケティング予算で最も大きいのは見本市・イベント

 

・2022年より従来通りの対面型見本市・イベントが復活

  

 

ドイツ産業コミュニケーション協会がドイツの従業員数50名以上のBtoB企業を対象に、各社のマーケティング予算について2021年と2022年に調査した結果です。

 

まずはマーケティング予算額について。

 

 

マーケティング総予算の平均は、2021年の882,736€(約1.39億円*)から2022年には1,000,298€(約1.58億円*)へと約13%の増加を示しています。

 

この総予算には社員への商品情報共有や企業理念の伝達などのための費用(インターナルマーケティング呼ばれます)も含まれています。

それらを除いた、社外へのアプローチに関する顧客向けのマーケティング(エクスターナルマーケティング)予算だけで見ると、2021年は397,407€(約6,300万円*)、2022年は473,483€(約7,500万円*)。

昨年の外向けマーケティング平均予算は、前年比プラス19%で、マーケティング総予算よりも大きな増加率となりました。

 

マーケティング予算増加の要因として、次の二つが考えられます。

1)コロナ禍からの反動

まずは、コロナによる行動規制がほぼなくなった2022年は、社外の顧客向けのマーケティング活動の幅が大きく広がりました。

見本市やイベントも従来通りの開催となるケースが増えました。

 

2)インフレ

2022年のドイツのインフレ率は前年比プラス8.7%

毎年プラス1%台だったコロナ前と比べて、急激な物価上昇に直面しています。

マーケティングに関わる費用も同様に値上げ傾向で、前年と同じ内容のマーケティング手法であっても、費用は前年以上にかかってしまう状況です。

この調査結果についての専門家のコメントでは、インフレ傾向は今後も続くため、2023年、2024年の予算は前年比20%増となる可能性が非常に大きいとされています。 

 

コロナ明け、数年ぶりにドイツの見本市への出展を計画されている時に、ドイツでの価格が高くなったのを感じられた方もいらっしゃるかもしれません。

現在の日本円の為替相場の状況も付加されていますが、為替が関係ないドイツ企業でも、価格上昇を受け入れてマーケティングに注力していることがわかります。

 

 

では、具体的にはどのようなマーケティング手法に予算をあてているのでしょうか。

BtoB顧客向けマーケティング予算の配分が多いのは、次になります。

 

 

最も多くの予算を充てているのは見本市・イベントで、平均して予算の32%。

オンライン広告、デジタルカタログ、企業ウェブサイトといったオンラインを主体としたマーケティングへの予算が2022年には減少となる中、見本市・イベントへの予算だけが大きく伸びています。

コロナ後の一番大きな動きは、従来通りの対面での見本市が復活してきたこと。

その影響が、予算配分の変化にも見られます。

 

2022年の予算配分で2番目に多いSEO・検索エンジン広告は、2022年に初めて選択肢として設定されたため、2021年のデータはありません。

時代の流れと共に新しいマーケティング手法が出てきており、この他に、2022年に新たに設定された選択肢に「メールマーケティングとマーケティングオートメーション(予算配分は5%)」があります。

 

 

見本市・イベント予算をさらに詳しく見てみましょう。

オンライン、オフラインの見本市・イベント別に見たデータがこちら。

 

 

2021年にはオンライン見本市・イベントが41%、コロナ前に行われていた、実際に人と人が見本市会場のブースで対面するオフラインタイプは45%。

オンラインとオフライン(対面型)がほぼ半々でした。

 

それが2022年には大きく変わっています

従来通りのオフライン(対面型)が全体の76%を占めるようになり、一方でオンライン見本市・イベントは16%と、前年の半分よりも少なくなっています。

 

コロナ禍には、今後の見本市は、コロナによる行動規制が撤廃された後でも、オンラインとオフラインの両方を取り入れるハイブリッドが主流になるという見方が多くありました。

それが、実際にコロナ後を迎えた今、現在の状況を見る限りでは、見本市・イベントはハイブリッドではなく、対面型のみへと戻ってきています

ただ、今後の予想としては、オンラインは全く無くなっていくわけではなく、オンラインならではの利点を生かして機会が増えてくるかもしれません。

ハイブリッドについては、現状のままでは無くなるという見方もあります。

ただし、例えば今年の食品見本市アヌーガで事前情報のウェビナーが活発に行われているように、今後はオフラインの見本市開催期間の前後でオンラインを活用する形が増えてくると思います。

 

こうしたことから、見本市・イベントでのオンライン・オフラインの「使い分け」が今後は重要になってくると考えられます。

実際に、

・オンライン:セミナー、商品の使用説明など既存顧客への情報提供が主。

・オフライン:新規顧客やコンタクト先の獲得の場。

と捉えているドイツ企業が多いです。

 

背景には、EUのプライバシー法の基では、オンラインで全く知らない相手にリーチする事は難しく、見本市の方ように興味のある人に物理的に会える場の方がリーチしやすいという事があります。

また、効率性を重視するドイツでは、買い付けは見本市の時に集中して行うという商習慣が根強く残っているということもあります。

 

まずは従来型の対面式見本市への出展やイベントに参加する事で新規の顧客候補やコンタクト先を獲得し、その後にオンラインでのコミュニケーションで関係を育てていく、そうした方法がこれからのBtoBマーケティングの効果的な進め方になると考えられます。

 

マーケティング予算が増加傾向にある現状ではありますが、ここで踏ん張って見本市に出展する事で、ドイツ市場、そして海外市場への拡大が確実にやりやすくなると思います。

 

*為替レートは2023年9月19日時点のレートで計算しています。同期間の日本円の為替変動が大きいため、各時期のレートにすると、実際にドイツ企業が受けている予算増と異なるため、ご参考までに同一レートとしています。


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