ハイムテキスタイル2024 レポート

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ドイツで今年最初に開催されたホームテキスタイル国際見本市ハイムテキスタイル2024(heimtextil 2024)が無事、幕を下ろしました。

 

主催者によるファイナルレポートに、実際に会場に入っていたスタッフの感想を基にご紹介します。

 

今年のハイムテキスタイルで注目を集めた特徴は、次の3つの点です。

 

- 出展者数・来場者数の増加

- テキスタイル産業における持続可能性

- AIによるけん引

 

©Jean-Luc Valentin

 

● 出展社数・来場者数の増加

 

2024年のハイムテキスタイルには、

 

- 約130カ国から46,000人以上の来場者

- 60カ国から2,838の出展者

 

が集まり、前年比で25%の成長を達成しました。

 

今回のハイムテキスタイルの開催時期がドイツ全土で実施された鉄道のストライキやデモと重なりましたが、大きな混乱や支障もなく世界中のバイヤーが見本市に足を運び、成功を収めることができました。

 

※来場者数、出展社数は現時点で主催者が発表した速報値です。

 

■ 国際性はさらにアップ

ハイムテキスタイルの国際性はさらに高まり、海外からの出展企業は全体の95%に達しました。

 

中国、インド、トルコ、パキスタン、イタリア、ドイツ、スペイン、ポルトガル、イギリス、オランダがトップ10の出展国で、ベルギー、ブルガリア、中国、インド、日本、ポーランド、スウェーデン、チェコ共和国、アメリカ、エジプトからの出展企業も増加しています。

 

来場者では、中国、ドイツ、インド、日本、クロアチア、マケドニア、パキスタン、スロバキア、キプロスからのトレードビジターが増加し、前回減少していたドイツからの来場者も約10%増加しました。

 

参加者へのサーベイ結果によると、来場者の満足度は、全体平均で93%へと向上し、ドイツからの来場者の満足度(以前はちょっと厳しい評価でした)は総合で7ポイント増の88%に達しました。

 

90%以上の来場者が来場目標を達成し、来場者に占めるトップ意思決定者の割合は6ポイント増の78%でした。

 

出展企業も約80%が出展の目標を達成できたと答えており、新しく設置されたカーペット&ラグのカテゴリー展示も高い評価を得ました。

 

 

● 持続可能性とAI進化に焦点

内容に目を向けると、ハイムテキスタイル2024では、テキスタイル産業における人工知能と持続可能性の進化が焦点となりました。人工知能を活用したテキスタイル製品のデザインや、再生テキスタイル、廃棄物から生まれた新しいタイプの糸への変換をAIで制御する技術などが注目されました。

 

例えば、室温での染色を可能にする、Ever Dye社が自社開発した色素や、ランプシェードのような複雑な形もパターンなしで製造できる、AIによる編み物ソフトウェアなどが注目されていました。トレンドスペースでは、ChatGPT-4やMidjourneyなどのツールを使用して、来場者のテキスタイルデザインのアイデアを具現化する試みも行われました。

 

メッセ・フランクフルトの取締役であるデトレフ・ブラウン氏は、こう述べています。

 

「ハイムテキスタイル2024は圧倒的な参加者増、満足度増で幕を閉じました。展示スペース、出展企業数、来場者数の増加は、『ホームおよび(ホテル業界等との)コントラクトテキスタイルでトップの見本市であるハイムテキスタイルは、今回も成長を示し、持続可能性とAIによりけん引されるテキスタイル産業の新しい基準を生んでいます』」

 

■ 持続可能性、AI活用で実現する新素材が話題

トレンドコーナーでは、これまでになかった原料から作られた新タイプのテキスタイルのセレクションが紹介されました。

 

植物由来の原料やその副産物から作られていることが特徴的で、また新タイプの合成ポリエステルやナイロンなども紹介されました。これらの新素材は、陸地や海洋で迅速に生分解するように設計されています。

 

RenewcellやSpinnovaなど急成長するスカンジナビア企業による新しいセルロース繊維が多く取り上げられていました。他にも、大麻、ジュート、ウールなどの自然素材によるテキスタイルが展示されていました。

 

新しいバイオエンジニアリング素材も紹介されました。

 

Modern MeadowのBio-Tex(タンニンを使用したバイオタンニン革)、Bucha Bioのバクテリアナノセルロースから製造されたShorai、Moguによるきのこの菌糸体から得られた生地などです。

 

生分解可能な合成繊維も注目され、CiCLO(Intrinsic Advanced Materials/Parkdale Mills)やPrimaLoft Bio(Fiberpartner)といった、合成繊維を迅速に生分解させるための添加剤も紹介されました。環境に優しい、新しい布地の進歩に大きな影響を与えると考えられます。

 

興味深かったのはPolyPlant(Fiberpartner)で、これはサトウキビ由来の新しいポリエステルであり、環境への悪影響を抑えつつ、ポリエステルと同等の特性を持つとされています。

 

これらの試みは、持続可能な新しいファブリックの普及において重要です。

 

■ 寝具用テキスタイル、アジア企業製品に注目

ベッド関連製品では、小売・ホテル業界向けの高い品質の製品が注目されました。専門家によるベッドルームやホテルルームのデザインについてのワークショップ、また、睡眠分析における人工知能の最も効果的な活用についての情報が共有されていました。

 

アジアのエクセレンス&セレクションホールでは、中規模および大規模な数量を扱うバイヤーが、輸出経験豊富なパートナーや高品質な製造テキスタイルの買い付けに集まりました。出展者は訪問者の反応に非常に満足し、新しい市場や顧客を開拓できました。

 

ハイムテキスタイルが注力している分野のひとつ、ホテル等へのコントラクトビジネスのコーナーも盛り上がりを見せていました。建築家とホスピタリティの専門家を、コントラクトビジネス向けのサプライヤーと結びつける「インテリア・アーキテクチャ・ホスピタリティプログラム」が設けられ、これまで以上に拡大され、国際的なやりとりが行われていました。

 

● 次回は2025年1月14日から17日にフランクフルトで開催

 

次回のハイムテキスタイル2025では、主催者と、世界的に影響力のあるデザインスタジオの1つであるStudio Urquiolaとのパートナーシップが発表されています。

 

ミラノを拠点とするこのデザインスタジオとのコラボレーションで、次回のハイムテキスタイル2025では多くの人が夢中になる、ユニークなデザイン体験が期待されます。

 

ハイムテクスティル2024は、ホームおよびコントラクトテキスタイルの国際見本市として、大きな成功を収めました。

2025年に向けては、さらに革新的な成果が期待されます。

 


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