1.ドイツ見本市の特性を知る(前編)

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ドイツの見本市への出展を考える時、まずは見本市の特性=見本市だからできること、出展するメリットについて理解することが大切です。

ドイツでは800年以上前から見本市が開催されていたと言われており、長い歴史と伝統に支えられています。しかしながら、見本市の役割や位置づけは、時代と共に大きく変わってきています。昔からの見本市のイメージのまま、ただ当日の出展のために展示商品を用意して、当日の商談成立を目指しても、現在ではライバル出展社に後れをとってしまいます。 

 

ドイツ見本市への出展はマーケティングミックスの中で考える

見本市・展示会への出展は、他の様々なマーケティング方法と組み合わせた、マーケティングミックスの一部として考えるーこれが現在のドイツ、そして世界市場での常識となっています。

 

見本市は、多くのセールスチャンスを生み出す貴重な場で、海外市場への進出に最適な方法です。しかし、ただ出展ブースをおさえて、商品を展示して、当日ブースで来客を待っているだけでは、何も始まらないのです。見本市の特性を見極めて、見本市を「使いこなす」ことで初めて、大きな収穫が得られるのが見本市出展です。太く長くお付き合いのできる海外での取引先を獲得していくために、まずは見本市を知ることが大切です。

 

見本市の役割を考えるうえで見逃せないのは、デジタルコミュニケーションの普及です。少し前までは、デジタルが進めば見本市は必要なくなるだろうという考え方が広がっていました。ところが、数年前のコロナ感染拡大により次々と見本市が開催中止となる中、かえって見本市の必要性や価値が見直される結果となりました。特に新しい顧客を獲得するためには見本市でないと難しいと、世界中の多くのマーケティング、セールス担当者が実感したのです。

 

ただそれは、見本市があればデジタルは必要ないということではありません。見本市かデジタル、どちらか一つという事ではないのです。実際に、デジタル化が進む中で、見本市のあり方は劇的に変わってきています。以前の見本市でのコミュニケーションは、ほぼ開催期間中に限られていましたが、デジタルの普及で見本市開催前後の時にもコミュニケーションをとることができるようになりました。つまり、見本市は「点」でのコミュニケーションから「線」でのコミュニケーションが求められるようになったのです。

 

◆ドイツ見本市 今と昔の比較



「点」から 「線」のコミュニケーションへ、と書きましたが、上の図のように考えると、むしろ「円」のコミュニケーションとも言えますね。

 

バイヤー、顧客候補である来場者の視点から見てみましょう。

eメールやウェブサイト、オンライン会議等が無かった時代には、見本市会場が、販売側と購買側の唯一の接点でした。見本市の初日には多くのバイヤーが我先にと会場に入り買付けを行いました。特に外国企業の場合、見本市の会場が唯一の購入の場で、そこで商品を確認して商談を成約にまで進めないと、その後に大変な手間がかかりリスクも生まれました。この時代、見本市での最優先事項は「成約に至ること」でした。

 

デジタル化が進んだ現在、見本市会場で成約まで進めなくても、見本市終了後にメールやオンライン会議で契約の詳細を詰めることが一般的になりました。見本市開催前にウェブサイト等で新商品や出展企業の情報を集めることができます。以前は見本市会場で全て行っていた事の中で、デジタルで出来ることが増えてきています。見本市出展にデジタルをうまく活用すると同時に、デジタルでのマーケティングにリアルでの出会いの場である見本市をうまく活用することで、大きな成果につながるようになりました。

 

では具体的に、見本市の特性=見本市だからできる点を考えたい思います。

 

見本市だからできること①リアル体験

見本市では、実際の商品をバイヤーが目にしたり手に触れたり、試したりすることができます。出展社は商品だけでなく、製造の工程を実演で見せたり、機械やシステムが実際に動く様子をデモンストレーションで見せることもできます。

 

他のメディア、例えば自社ウェブサイトや業界関連サイト、メールマガジンなどのデジタル媒体や、紙媒体のパンフレット、カタログなどを通じて商品や企業情報を伝えることもできますが、これらは目で見るのが中心です。時に耳で聞くこともできますが、実物を体験するのとは大きく違います。経験に基づく記憶は、文字情報からの記憶よりも効果的であることは、多くの脳科学研究でも実証されています。

 

直接に会って会話をできる場ということでは、訪問営業と同じと思われるかもしれません。が、訪問営業の際に、見本市ブースに展示するような幅広い商品ラインを全て持参することはほぼ不可能です。希望する商品がほぼ決まっている段階であれば良いですが、これから様々な商品について知ってもらって、試してもらうには、見本市はまたとない機会なのです。

 

見本市だけが、実際の商品や製造工程を体験できる唯一の機会なのです。デジタルや紙媒体では再現できない五感での体験が可能な見本市の特性を生かすには、出展ブースで五感で体験できるようなプレゼンテーションが非常に効果的であることが分かります。

 

後半に続きます


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