4.ドイツ見本市出展計画⑥:展示ブースの企画設計

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全体予算、スケジュールが固まってきたら、いよいよ展示ブースの設計です。出展するブースの企画設計を考えるときに、知っておきたいこと、抑えておきたいことを紹介します。

 

ドイツ見本市ブース設計の考慮点


出展ブースの企画は、まず、出展目的を念頭に置いて進める事が大切です。

見本市に出展するのは、出展の目的を達成するため。

出展の目的はひとつではなく様々な可能性を求めたいかもしれませんが、最も優先することは何かを考えてみる事が重要です。

例えば、多くの人にブランドや商品を知ってもらうことが第一目的の場合、オープンなブースレイアウトで、短い時間の来訪でも印象を残せる演出が適しています。

逆に、厳選したターゲット層とのつながりを深める事を優先するなら、落ち着いて話をできる商談スペースの比重を高くして来客がゆっくり時間を取りやすい環境が適しています。

出展目的を最大に達成できるようにブースを企画・設計しましょう。

 

1. 来場者の動線に注目 

同時に、ホール内での位置、来場者の動線、隣接する出展企業、テクニカルガイドライン等を考慮しながら進めることが大切です。

そのためには、来場者がどのようなルートで自社ブースに来るかのシミュレーションが役に立ちます。

 

来場者の視点に立つと、多くの来場者は、次の4段階を経てブースへ足を運ぶと考えられます。

 

ステップ1. 興味のある分野(ホール)へ向かう。

  ↓

ステップ2. ホール内を歩きながら各ブースの情報に触れる。

  ↓

ステップ3. 各ブースの情報を把握し、いくつかのブースに興味を持つ。

  ↓

ステップ4. 興味を持ったブースに向かう。

 

このステップごとに来場者を惹きつける要素をシュミレーションすると、次のようになります。

 

ステップ1:ホールに入ってすぐに目をひくブースデザイン

ステップ2:ブースの通路を歩きながらでもわかる商品プレゼン

ステップ3:来場者のニーズに合ったメッセージ

ステップ4:実演や試用などブースに長く滞在し話をしたくなる演出

 

こうして見てみると、展示ブースの見せ方が明らかになります。

「商品は何なのか」「どのように役立つのか」について、他社とは異なる点を明確に示すことが、まずは来場者の興味を惹くことにつながります。これらを明確に示すには、商品の展示によるビジュアル面でのアピールに加え、簡潔で要点を抑えた文字でのメッセージが、非常に大きな効果を発します。

初めて出展するブースや来場者があまり来ないブースに多いのが、遠目に見てわかる文字メッセージが全くない展示です。

出展者としては、「商品を見てくれれば全てが伝わる」と思われるかもしれません。

ところが、来場者の視点からすると、多数のブースが並ぶ中、通路を歩きながら、その商品が他社の商品に比べてどこが良いのか、自分が求めている商品なのかを見きわめるのは困難です。

特に、ドイツ人もそうですが、文化や商習慣によっては文字でのコミュニケーションの方が得意な国の人も多く来場しています。

文字でのメッセージもしっかり発信することでより多くの来場者をブースに招き入れ、活発なコミュニケーションにつなげることを目指しましょう。

 

2. ブース設計

展示ブースに必要な要素は次の4つです。これらを満たすブース設計が重要です。 

 

  • 企業・商品プレゼン: 企業や商品の基本情報や強みをわかりやすく紹介。
  • メッセージ(ソリューション提案): 解決できる課題や提供できる価値を明示。
  • ライブプレゼンテーション: 商品やブランドの世界観を表現するための実演や試用機会を企画。
  • 会話スペース: 来場者と円滑にコミュニケーションを取るためのスペースを確保。

 

ライブプレゼンテーションについては、負担が大きいと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。ただ、これまでドイツ見本市で多くのブースを見てきた私達が気づいているのは、「人が多く集まるブースには必ずライブプレゼンあり」という事です。

大がかりな仕掛けでなくても、自社の商品の良さをわかってもらえる方法であれば、シンプルな方法で十分です。ブース設計の時点で、ライブプレゼンテーションを想定しておきましょう。

 

家具・什器については、ブースのイメージに合わせて、インフォメーションカウンターやミーティング用のテーブル、展示ケースやスタンドなど、必要なものを調達しましょう。

サステナブル志向の家具を使う展示ブースが増えてきています。

同様に、ブースの素材も、環境に配慮したサステナブル素材が主流となってきています。

 

 

 

3.グラフィックデザイン

 

グラフィックデザインも、来場者の動線を考慮して、シンプルでポイントを絞ったデザインにすることが大切です。

 

初めに紹介した、来場者がブースを訪問するまでのステップに合わせて、次の3つの印象をグラフィックデザインで使い分ける事が必要です。

  • 遠くからでもわかる印象
  • 近くで見る印象
  • 詳細情報

 

展示ホールに入った来場者にまず、展示ブースをできるだけ早く見つけてもらうことがじゅうようです。企業ロゴやメインイメージやブランドカラーといった、遠くからでもわかる印象の強さで来場者の興味を惹きつけましょう。

展示ブースに来場者が近づいたら、商品情報のポイントが即座に伝わるように示しておく必要があります。より具体的なイメージを与え、さらに詳しい情報を知りたいと来場者に思わせ、対面での詳細情報を伝える段階に進むことを目指します。

長々と書かれた文章や複雑なプレゼンテーションを、ブースで来場者が読むことはほぼありません。簡潔な表現で、重要なポイントを絞り込んだ説明が求められます。

 

 

 

照明と色彩効果も重要です。

日本での見本市と比較すると、ドイツでの見本市での展示ブースの方が大胆な色遣いをしている場合が多いです。

企業ロゴやブランドカラーに合わせた色彩を使用し、視覚的なインパクトを高めましょう。

 

照明の使い方も工夫したいです。

多くのドイツの見本市ブースでは、ブース全体を照らす照明に加えて、強調したい商品のためにスポットライト効果的に配置しています。

メリハリのある照明、色彩効果を目指しましょう。

 

 

 

4. 展示商品のプレゼンテーション

展示する商品は、注力したい商品を中心に、ターゲットグループに合わせた最新の商品ライン、新しい開発や革新性をアピールする商品を選定しましょう。

 

先に紹介しましたライブプレゼンテーションの必要性と重なりますが、他のメディアと比べて、見本市だからこそ実現できるのが「インタラクティブな経験」です。

インタラクティブな経験を生む演出には、次のようなメリットがあります。

  • より注目を集めることができる
  • 商品により積極的に関わることで、より強い印象を生む
  • あらゆる感覚を通じて具体的な方法で情報伝達できる
  • 経験により、より長く記憶できる
  • ブースの滞在時間が長くなる
  • 対面での会話を生み、信頼関係が深まる

デジタルではできない実際の商品に触れて試せて、担当者と具体的に会話をできる見本市の場を、インタラクティブな経験を生むために活用しましょう。

 

出展ブースのプレゼンテーションを策定する際に重要なチェックポイントを別紙にまとめました。こちらもご活用くださると嬉しいです。


【ドイツ見本市便利ツール:展示プレゼンチェックポイント】 

見本市出展の成否をわける重要なポイント、ブースでのブレゼンテーションを策定する際に抑えておきたいチェックポイントをまとめました。

こちらのページより無料でダウンロードいただけます。ドイツ見本市出展ブースでのプレゼンテーションの企画にぜひご活用ください。


出展ブースの企画と設計は、出展目標達成の鍵となります。ホール内での位置選定、ブース設計、スタンドのデザインと設備、展示商品のプレゼンテーションなど、各要素を総合的に考慮し、戦略的に進めることが成功の秘訣です。来場者の視点から考え、魅力的で効果的なブースを作り上げましょう。

 


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