こちらの記事で、コロナ禍でドイツの在宅勤務がさらに普及しているデータを紹介しましたが、今日は在宅勤務を採用する企業がどのように取り組んでいるのか、ドイツの在宅勤務事情を見てみたいと思います。
まず、在宅勤務を採用している企業が、勤務時間のどれ位の割合を在宅としているかについてのデータです。
ドイツ企業全体でみると、 勤務時間に占める在宅勤務の割合は、コロナ前の33%からコロナの影響下にある今、60%へと増えています。
月~金の5日間の勤務日を想定すると、以前は一週間に1~2日在宅であったところが、今は3日間になっているというイメージでしょうか。
*ただしこれは平均なので、実際には5日間毎日在宅の人がいれば、一週間に半日だけという場合も含めた全ての平均での値です。また、ドイツでは週に3~4日勤務というパートタイムも多くありますので、週3日というのは一概には言えないかもしれません。
業種別でみるとサービス業での在宅率が高く、以前の36%から7割に届きそうな69%へと33ポイント増となっています。
サービス業では物理的なもののやり取りが少なく在宅勤務へのハードルが低いという事がわかります。
全体の平均値を下回るのは製造業と卸売業。
どちらもコロナ前の在宅勤務普及率は29%でしたが、コロナ禍で製造業は51%へ、卸売業は27%へ。
現場で人が集まって仕事を進めていく事が必要な製造業、また、物理的なものを取扱う卸売業では在宅勤務の普及はサービス業に比べ難しいものの、それでも、コロナの影響で約半分の勤務時間が在宅へと移行しています。
在宅勤務での業務量の割合が増えたことで、実際の成果にはどのような影響があるのでしょうか。
在宅勤務を採用したことで、業務全般としては回答企業の37%が「悪化した」と答えており、「改善した」との回答18%を上回ります。
その一方で、44%が「変わらない」と答えています。
つまり、在宅勤務が増えても悪影響はなかったとする企業が全体の62%(「変わらない」と「改善した」を加算)、過半数となっています。
もう少し詳しく見ると、業務の質については、「改善した」「悪化した」はそれぞれ24%、23%と拮抗していますが、過半数となる53%の企業は「変わらない」と答えています。
在宅勤務による業務の質的な問題を感じているのは、全体の23%の企業に留まっています。
労働時間という項目は、この調査の対象が経営陣なので、労働時間が長引いてしまう傾向にあると「悪化した」という意味合いになります。
長時間労働に対する規制が厳しいホワイト企業のドイツでは、在宅勤務が増えることが昼食をとりながら仕事をしてしまう、夜まで仕事をしてしまう、という事が問題点として大きく取り上げられるようになっているので、この点についての調査項目が含まれたのだと思います。
生産量の面では、例えば製造業の場合は在宅勤務が増えることで生産に充てる時間や従業員が抑えられてしまう事などの支障が生まれているので、その影響で「悪化した」と答えた企業が「改善した」企業よりも多くなっていると考えられます。
「悪化した」が際立って高かったのは、対面での共同作業。
在宅だから対面での業務機会が限られるので当然と言えば当然の結果ではありますが、ビデオ等を利用した対面も可能なはずです。
それでも過半数の企業が、対面での業務に支障を感じているという事は、ビデオ会議等のツールが発達しても、それが100%になるのはまだ先の事になりそう、という事を示唆しているように感じます。
コロナ禍を機に在宅勤務を採用して、成果面が改善した、または変わらなかったと感じている企業は、コロナ後も在宅勤務をある程度は継続していく事になると考えられます。
在宅勤務とオフィス勤務の両方を採り入れた「ハイブリッド」なワークスタイルが主流になっていくように思います。
そうしたドイツを始めとした欧州企業のワークスタイルの変化は、日本企業の海外マーケティングの進め方にも大きな影響を与えてきます。
これまで見本市を中心とした対面でのマーケティングが主であった欧州でのマーケティングが、見本市+デジタルのハイブリッド型になっていくと思います。
そんな新しい世界に向けて、今からデジタル面のコミュニケーションの強化をしていくことは、とても重要になると私達は考えています。
弊社でなら、見本市出展との相乗効果を得られるデジタルマーケティングが実現できます。どうかお気軽にご相談ください。
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