コロナ後のドイツ消費者の購買心理

 

青山 香織

アンサンブラウ イベント+マーケティング

 


過去2年以上に渡り、私達の生活に大きな影響を与えたコロナ・パンデミック。

コロナによってドイツ消費者は変わったのか、変わったならどう変わったのか。

まだ完全に終わったわけではありませんが、行動規制が解かれコロナ前の生活スタイルに戻りつつある2022年2月に行われたドイツ消費者についての聞き取り調査の公開レポートの内容を紹介します。

 

調査に回答したドイツ消費者1,027人のうち、65%が買い物をする際に最も重視するのは「価格」。

他の選択項目より群を抜いて高い結果となっています。

 

 

 

 

 

背景にあるのはインフレです。

この調査が行われたのは2022年2月。

この後にウクライナ侵攻があり現在エネルギー価格がさらに高騰しています。

現在に比べれば、この調査の頃のインフレはまだ序の口と言えるのですが、それでも価格が大半の消費者の懸念となっていて、おそらく同じ調査を今行ったら、より多くの人が価格重視に移っているのではと考えられます。

 

一方で、実店舗での購入についての質問では、価格重視というわけではない回答が出てきました。

 

 

 

 

3割の人は、実店舗で購入する場合は、オンラインで購入する時ほど価格を気にしないという答えています。

また、約半数(48%)は、実店舗での買い物の時はブランドを重視しています。

 

現時点のドイツでは、安く買いたい時はオンライン、自分のお気に入りのブランドでちゃんとしたものを買いたい時は実店舗で、という使い分けが主流と考えられます。

付加価値のある商品を購入する場合は、実際に手にとったり試したり、店員さんと会話をしたり、という経験が求められており、その分の価格は受け入れられると言えるかもしれません。

 

もうひとつ、注目すべき点は、サステナブル意識がこの二年間で更に高まってきていることです。 

 

どの世代でも共通して、ほぼ同じ割合で高まっています。

 

このサステナブル意識から生まれているのが、地元での買い物を優先する考え方。

 

回答者の3人に1人が、「買い物の際に、この2年間でよりサステナビリティについて意識するようになった」と回答しています。

 

CO2排出抑制を考えて、35%の回答者が地元、自宅の近隣での買い物をするように過去6か月間心がけてきたと。

 

これらのデータを楽観的につなげてみると、

 

サステナブル意識の高まり

地元の小売での買い物

価格よりも付加価値重視の購買

 

とういう流れを、今後期待できるかもしれません。

 

 

反面、コロナ禍でのロックダウンや行動規制が後押しする形で、オンラインでの購入も増えています。

 

オンラインでの購入自体はコロナ前から増えていたので、大きな増加にはなりませんが、「オンラインで購入し自宅まで配達してもらう」人は、コロナ前の調査での65%から72%増えました。

 

この場合はCO2抑制は二の次になってしまうようで、オンラインで注文して自分で(自宅近くの店に)引き取りに行くクリック&コレクト方式は、「使ってもいい」が4人に1人という結果です。

 

この調査結果から言えるのは、今、ドイツ消費者は、

 

1.オンライン:安く便利に購入

2.実店舗:価値のあるもの、ブランド品を店舗での体験も含めて購入

 

の2つの購買パターンを使い分けています。

 

サステナブルな観点から地元の店舗で(短距離の移動)買い物をする事を好む傾向が生まれつつありますが、一方で、便利さと安価なものが見つかりやすい事が魅力のオンライン購入の頻度が上がっている現在のドイツ消費者のニーズに合わせた商品展開が、ドイツ進出のポイントのひとつと言えます。

 

*上記の記事は、ドイツの消費財業界専門誌の記事を基に、弊社の視点を加えて紹介しました。

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