成果を左右するのは「展示会のあと」ー① フォローアップがビジネスチャンスを左右します

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ドイツや欧州の見本市は、日本企業にとって欧州市場への扉を開く重要な機会です。

多くの企業がブースを構え、製品やサービスの魅力をアピールします。

 

でも、「展示会で名刺を集めた=成果」ではありません。

真の成果は、「展示会の後」にかかっています。

 

今回は、見本市後のフォローアップがいかに重要であるか、そしてどのような点が成功を左右するかについて、欧州の実情とともにお伝えします。

  


1. 見本市で得られるのは“出会い”であって“商談”や“成約"ではない


見本市や展示会では、多くの見込み顧客と接点が生まれます。

しかしその場で即契約に至るケースはまれです。

 

ドイツのビジネスでは、一般的に次の段階を踏んで意思決定がなされます。

 

【ドイツにおける一般的なB2B意思決定プロセス】

1. 情報収集

展示会・業界媒体・ウェブなどで広く候補を探す。

 

2.比較検討

製品・サービスの特徴、価格、導入実績などを社内で比較。

 

3.初期対話(信頼構築のための商談)

ここでは「この会社に話を聞いてみよう」というレベル。初期接点やプレゼンテーションでの印象・対応力が重要。

 

4.社内合意・稟議(一次)

社内で「この会社を軸に話を進めて良いか」の方向性確認。技術部門や財務部門が関与することも。

 

5.詳細確認(契約成立に向けた商談)

仕様や納期、契約条件、導入サポート体制などの具体交渉フェーズ。

 

6.社内合意・稟議・決裁(二次)

最終的な承認プロセス。上層部・経営層も関わる正式な決裁。この段階では、金額や契約内容が確定していることが求められる。

 

このステップの中で、見本市が対応できるのは、多くの場合、3番目の初期対話(信頼構築のための商談)までとなります。

状況によってはこの時点で成約ということもありますが、ほとんどの場合、特に大型の契約になれば、相手企業の意思決定段階も慎重に、何度かのステップを踏みます。

 

見本市でつながることができた、でもまだ淡い信頼関係を確実な形にしていくのが、フォローアップです。

 

 

図で表すと、次のようなイメージです。

つまり、展示会後のアプローチこそが成約に向けた商談のスタート地点なのです。

 


2. フォローアップは「1週間以内」が理想


では具体的に、フォローアップはどのタイミングで行うのが最も良いのでしょうか。

 

ドイツ見本市産業協会(AUMA)の公式ガイド(英語版)では、次のように明記されています:

“Contacts made during the trade fair should be followed up promptly – ideally within a week – otherwise they may be lost.”
「展示会で得られたコンタクトは迅速にフォローアップすべき。理想的には1週間以内。そうでなければそれらのコンタクトは失われてしまう可能性がある」

 

展示会後の対応が遅れれば、関心が薄れたり、他の競合が先に動いてしまうリスクが高まります。
スピードが、信頼と商談機会を獲得する重要な鍵といえます。

 

ところが、そのスピード感においては、日本企業は現地企業に比べてどうしても不利な立場に置かれがちです。

 

欧州出張からの帰国には、最短でも丸一日を要します。

帰国後は、出張で不在中にたまった社内対応や日常業務の処理に追われ、展示会で得たコンタクトへのフォローアップをすぐに始めるのは容易ではありません。

さらに、7〜8時間の時差と時差ボケの影響も加わり、判断力や集中力が普段通りに戻るまでに時間がかかることも。

 

そんな中で、見本市で出会った一人ひとりに丁寧に向き合い、1週間以内に対応するというのは、現実にはかなりの負担となります。

 

 

次回は、日本からフォローアップを行う場合の課題と、その解決法について見ていきたいと思います。

 

後編はこちらです 


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