これからのテキスタイル素材②

 

市場調査チーム

アンサンブラウ イベント+マーケティング

 


 

これからのテキスタイル素材①の続きです。

2024年1月開催のハイムテキスタイルに向けたトレンド分析で注目される、未来の素材について、前回に続いて紹介します。

 

4.生態系の回復

現代のサプライチェーンによってダメージを受けた植物、野生生物の生態系を目指す取り組みです。

 

Climafibre(クリマファィブル)

写真:https://jessredgrave.com/CLIMAFIBRE-2022

 

イギリスに拠点を置くマルチデザイナー、ジェス・レッドグレイヴ氏によるクリマファィブルは、ヒマワリを利用した素材の開発に取り組み、再生農業の実現を目指しています。

 

ヒマワリの栽培は、他の食用作物との輪作で土壌を豊かにし、生態系の多様性を促進します。どのような気候や環境下でもほぼ栽培可能で、最小限の手入れ、肥料、水があれば育つヒマワリの生命力は、気候変動対策への大きな潜在能力があります。Climafibreでは、ヒマワリの全部分を使用しています。茎からはテキスタイル用の繊維、花からは天然染料、そして種子からとれるオイルによる防水コーティングを可能にしています。

 

Modular by nature by Omlab(モジュラー・バイ・ネーチャー・バイ・オムラブ)

写真:https://www.omlab.nl/en/buildingbiodiversity/

 

リサーチに主体を置くデザインスタジオ、オムラブは、既にある材料を再使用して環境にやさしい建築素材を生み出しています。

 

地球を無傷のまま維持することを目指し、化石燃料、鉱物、化学物質を一切使用せず、エコで生物をベースとした建設製品を開発しています。下水処理施設から出るセルロース、アルギン酸、カルサイトなどの三次廃棄物を混ぜ、粘土のような材料を3Dプリントでコンクリートと同じ強度と外観に乾燥させます。建築フィルムMVRDVとのコラボレーション「Modular by nature」では、OmlabのプロトタイプであるItbettermatterが使用され、立体緑園都市に昆虫や鳥の家を作っています。また、使用後はカルシウム豊富な物質に分解され、土壌と植物の成長に利益をもたらします。

 

Flocus(フローカス)

 写真:https://www.flocus.pro/

 

オランダを拠点とするFlocusは、カポックを原料とする新たなサプライチェーンを創り出しています。

 

カポックの木は手入れをしなくても、非農地でも繁栄し、農業の補助作物としても使用でき、地元の生物多様性に貢献し、炭素を自然に貯蔵し土壌と空気の品質を向上させます。フルーツのように収穫されるカポックのさやは、化学処理や水を必要とせず、生育する地にポジティブな影響をもたらします。Flocusの繊維は軽量で抗菌性があり、湿度や温度を調整する特性を持ち、リサイクル可能で生分解が可能です。細い糸に紡ぐか、他の材料とブレンドしてより持続可能なファッション、インテリア、または産業用テキスタイルを作成することができます。

 

2.バイオロジカル製造

自然素材とハイテクな合成革新を組み合わせ、代替素材のサプライチェーンを構築する取り組みです。

科学とデザインを融合させ、生きた微生物系から自然の再生力を合成、新素材の大きな潜在能力を示しています。生産性の高い革新的なプロセスを採用し次世代の素材を育み、最小減の人の介入を目指します。

 

Radiant Matter(ラディアント・マター)

 写真:https://www.radiantmatter.co/

 

ラディアントマターは英国の素材化学企業で、植物、果皮、またはリサイクル紙に含まれる高い再生可能性を持つセルロースから、自然な輝きと鮮やかな色彩の素材を作成しています。

 

PETやPVCから作られる従来の製法では、、有害なマイクロプラスチックを生みました。ラディアントマターではクジャクの羽や虫の自然な虹色の輝きから発想を得て、セルロースから構造的に着色、きらめく素材を作り出しています。金属、鉱物、顔料、石油を必要とせず、軽量で色が落ちにくく、非毒性、低炭素かつ生分解性の素材になっています。最初の応用製品であるBioSequinは、ファッションブランドのStella McCartneyとのパートナーシップで見られるように、アパレル業界の注目を集めています。

 

Modern Synthesis(モダン・シンセシス)

 写真:https://www.modernsynthesis.com/

 

ロンドンのバイオテクノロジー企業モダン・シンセシスは、バクテリアを用いてナノセルロースベースのバイオマテリアルを生産しており、革やコーティングされた合成テキスタイルに取って代わる新次元のテキスタイルです。

 

バクテリアは発酵による自然な副産物として、ナノセルロースを生産します。その後、カスタマイズされたナノセルロース生体膜を作成、これを自然なテキスタイルと組み合わせて多様な非織布材料を作り出しています。デザイナーは最終的な外観、手触り、機能を調整することができ、仕上げプロセスや自然由来のコーティングも可能です。プラスチックも動物も介入しないバイオマテリアルは、ファッション業界にとどまらず様々な分野に応用できます。

 

Charlotte Werth(シャーロット・ワース)

写真:https://charlottewerth.com/

 

若手デザイナー、シャーロット・ワースが開発した、細菌から顔料を作成する印刷プロセスです。

 

酵母エキス、塩、タンパク質、およびブドウ糖が土壌に生息する細菌であるジャンチノバクテリウム・リヴィダムの餌となり、これが成長して増殖すると、布地に紫色の顔料を生成、その後曇った黄色に変わります。ワースの「Bacteria Dye Machine」は、布地をゆっくりと、酵母エキス、塩、タンパク質、およびブドウ糖を混ぜた液体に通し、顔料の沈着を許し、その後低エネルギーの紫外線光により布地を殺菌します。合成染料プロセスよりも少ない水を使用し、複数の染料プロセスを組み合わせて、シルク、ビスコース、ウールなどの高級なデッドストックの生地に異なるパターンと効果を生み出します。

 

3.豊富な自然の活用

現在の限られた素材のパレットをどのように広げることができるでしょうか?現地および世界的に豊富なものを考慮しますか?

 

人間の介入をほとんど必要としない高い生産性を持つ強靭な原材料は、自然な高い収穫量を実現し、土壌を強化し、炭素を捕捉します。実際には多量の水、農薬、肥料を必要とする来の天然素材の繊維からシフトする可能性を持ちます。

 

Kelsun™ by Keel Labs(キール・ラボによるケルサン)

写真:https://www.instagram.com/keel.labs/

 

米国のキールラボは、海洋の再生力と気候に焦点を当てた素材資源を探求しています。主力製品であるKelsun™は、ケルプ(海藻)に含まれる豊富なポリマーから作られた海藻ベースの糸です。自然な再生力を持ち、育てやすい有機体であるケルプは、海中の二酸化炭素を吸収しているので、生息地の環境改善につながります。

 

Margent Farm(マージェント・ファーム)

写真:https://www.margentfarm.com/about-us/hemp-fibre-corrugated-panels

 

マージェント社は、英国のケンブリッジシャーにある50エーカーの再生農場でヘンプ(大麻とも呼ばれる麻の一種)を生産し、建設、ファッション、美容産業に向けた様々な素材を作っています。

 

成長が速く、手入れが簡単な作物であるヘンプは、その深い根が土壌を再生し、空気を浄化し、炭素を吸収して貯蔵します。ヘンプはかつて英国で人気のある農産物でしたが、大麻との関連性から厳しい法律が制定されたため、希少になりました。そうした中、マージェントファームは2016年にスタート、現在は、ヘンプ繊維からの様々な素材、例えば波形の壁用クラッディングシートやヘンプとPLA製のプレイスマットなどを生産しています。

 

Mogu(モグ) 

イタリアのモグ社は、日常の製品デザインを根本的に変革するために自然の力を信じ、高品質でありながら環境への影響が低い、菌糸を基にしたインテリア材料を展開しています。

 

Moguの循環プロセスは、農業産業廃棄物の再生を優先しています。特定の菌糸の品種を成長させるために技術とエンジニアリングを適用し、彼らは元来の製品を短期間でより高い価値のある製品に変え、人々や地球へのインパクトは最小限です。様々な3Dの形状や色で美しく、機能的で生分解性のある製品を生み出しています。モグの音響パネルは柔らかく、装飾用の壁カバーは音を吸収し、バイオベースの床タイルは耐久性を誇ります。

 

次回に続きます。


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